3つの出来事の最後。
case 3. 『お願いだから、無茶しないで!』
この日に関しては大分うろ覚えなんですけど、確かギプスは取れてた気がします。
たぶん、脱ギプスした当日か次の日にあったことかと・・・
時間はお昼より前だったと思います。
私が歯磨きをしようと洗面所に向かった時でした。
洗面所に入るなり、手前の低い台の前に車椅子に乗ったおばちゃんが居たのです。
と、そこまでは何ら普通なことなわけですが・・・・一瞬で釘付けになった物が!!
え・・・・この人、術部からドレン出てるヨ?
っていうか、尿管カテーテルも・・・
見つけた途端、頭の中の私が自分の術後の状況を思い出そうと、記憶の引き出しを一斉に開き出しました。
私も術部のちょっと左下に穴が開いてて、そこからコレが出てましたもん。
確か、コレが着いてる状態で無闇に動くと外れてしまうから、寝返りは自分でするなとか、トイレに行くなってことだったはずなんですが・・・?
この人・・・・なんでこんなところに???
「あのぅ・・・」
私がおばさんの姿を見とめ、おばさんが私が来たことに気づいて、この差、零点云秒のこと。
か細~い、いかにも具合の悪そうな声でおばさんが口を開きました。
「この管・・・・外れそうなんですけど・・・」
「ぇえっっ!!?」
ほらー!言わんこっちゃないぃぃぃ!!!!
(いや、口に出して言ってないですがネ;)
見たからにしんどそうだし、アナタやっぱり術後間もない人でしょー?
一体こんなところで何してたんだろうと思ったら、洗面台には歯磨きセットが・・・
「ちょ、ちょっとそのままで待っててくださいよ?看護師さん呼びますから。
ご自分でとか、ましてや私なんかが触ってどうこうするものでもないと思いますし!」
もぉ・・・・勘弁してくださいよ。
私なんか術後、車椅子のOK が出てからも何日間かはベッド上で歯磨きしてたっていうのに・・・
まだ不安定な足取りながら、ダッシュで自室まで戻ってナースコールをPUSHです!!
そしてまたダッシュで洗面所に戻って、入り口から体を出して看護師さんが来るのを見てました。
「たぶんね、手術したばっかりだと思うんですけど・・・そのドレン、管を抜いてもらうまでは動かない方が良いと思うんですよ」
「あーそうなの・・・歯磨きしようと思ってね・・・」
「それもね、看護師さんに言ったら、ちゃんと手はず整えてくれると思うんで」
「あー・・・」
そりゃあねーベッド上じゃうがいも満足に出来ないから、多少の不快感はあるけどさぁ・・・
そうこう説明しているうちに、看護師さんが一人来ました。
私の病室に入っていこうとしていたので、「おーい!こっちですー!」と呼んで、とりあえずは一件落着。
今回のことで怖いのは・・・指示を破れる度胸でした。
自分にはできなかったことです。
なんというか・・・・みなさん、後先考えたりしないんでしょうか?
私、『こうしなきゃダメ!』みたいに言われたことは、バカ正直に従ってましたよ。
もちろん、先に聞いてなかった事柄で、結果的に無理してたことはありましたけど・・・
寝返りも片身が痺れてどーにも我慢できなくなるまで耐えてたし、酸素マスクが外れたら手で押さえて付けてたし、脱走したい思いを堪えて室内で大人しくしてたし、通院も予約どおり行ってるし・・・
というか、これが当たり前でしょう?
自分がお世話になってるんだから、どうしても腑に落ちないこと以外は協力しないと。
提供する側、される側、お互いに気持ちの良い医療を受けようと思ったら、最低限の決まりは守るべきかと。
って、考えすぎでしょーか???
PR